無題
写真をやるようになって、いくらか変化が訪れるようになった。
日常の拡大というのだろうか。
スナップ写真の魅力にあげられるような、なんでもない日常がとても新鮮で魅力的に感じるようになった。
「カメラを趣味にした段階でオフシーズンなんかないんだよ」というツイートを見たがその通りだと思った。
それは、最寄り駅から降りて家に着くまでのほんの10分足らずの時間。
あれは、ロケーションが良かっただけなのか、それとも自分の感動のゲインが上げられたのか。
オレンジ色の夕焼けと青空、そして三日月が共存するそんな曖昧な時間帯。
全てが美しく感じた。自転車を漕いで目的地に向かう人、部活帰りの高校生、犬の散歩をしているおじさん。
どこを見ても凄く日常的なのに凄く感動的に思えた。
空模様のお陰もあるだろう。
けどそんな日常を美しいと思える様な心を持てるようになった。
それが写真を初めて良かったことだと思った。
あいにく、その時はお気に入りのカメラは持ち合わせていなかったのでスマホのカメラだ。
画質は良くなかったけどその素晴らしいと感じた瞬間は保存することが出来た。
音楽は、変化を楽しむものだ。と、俺は思う。
けど写真はその反対だと、この文章を書いていて思った。
素晴らしいその瞬間を、流れ行く時空から切り出し、保存する。
そういう音楽とは全く正反対な楽しみ方をするものなのだなと思った。
もちろん水の流れのように時間の経過を楽しむような写真もある。
けど本質的にはその一コマを切り出すという行為だ。
音楽は流れてしまう。しかし、流れないと魅力的ではない。
写真と音楽という正反対の性質持った趣味はお互いに大きな影響を及ぼすのではないか、そんな風に思った。